YCCS(Yokohama Creative City Studies)プログラムでは、SDGsを体系的に学ぶワークショップ型の授業を開講しています。2020年秋学期には、前期で学んだSDGsについての基礎知識を学生自ら発展させ、地域におけるSDGsアンバサダー(SDGs大使)として、神奈川県内のパートナーを対象にSDGsワークショップを開催しました。
PART 1 アイン弘明寺保育園
今回は、横浜市にあるアイン弘明寺保育園で5歳児クラスの子供たち(13名)を対象に行なったSDGsワークショップの様子を紹介します。YCCS開講科目であるStudio Workshopを履修した学生12名が、それぞれの関心によって3つのチームに分かれワークショップを企画し運営しました。
チーム1:みんなときれいなまち (ゴミの分別、環境問題、リサイクル)
チーム2:Sustainable Cities持続可能な街づくり
チーム3:エコな生活と食物連鎖
これら3つのテーマに沿ったワークショップを子供たちに日本語で提供しました。コロナ禍においてのZOOM上でのオンライン交流となり、初対面の5歳から6歳の子供たちの理解できる語彙やコンセプトの選択、興味を持ってもらえるコンテンツの企画が一番の課題となりました。本来であれば、保育園を訪問し、子供たちとの交流を行い、子供たちの好きなものや日本語力を知った上でSDGsワークショップを企画する流れが最適でした。しかし、今回はコロナ禍のため、対面での交流が持てないまま、子供たちの興味を想像しながら準備となりましたが、工夫を凝らしたワークショップとなりました。
保育園の子供たちからは、保育園がある弘明寺の紹介や「Sustainable Cities」のチームと一緒に牛乳パックで「皆が住みたいお家」というテーマで、お家つくりを行いました。最後のセッションで、留学生たちの前でそれぞれのおうちのコンセプトを紹介し、みんなのお家を繋げて街にしました。
「みんなときれいなまち」チームは、ゴミの分別やリサイクルについて子供たちが参加しやすいクイズを作り大変盛り上がりました。「エコな生活」チームは母国の紹介に加えて、食物連鎖などの難しいテーマも、じゃんけんをつかったゲームにアレンジし、楽しい時間が持てました。
SDGsは17の共鳴しあうゴールが設定され、「誰一人取り残さない」というモットーのもと、みんなで世界共通のゴールを達成するものです。アイン弘明寺保育園とのSDGsワークショップを通して学生からも、子供たちへの早期SDGs教育は大切であるとの声が上がりました。また、アイン弘明寺保育園の先生方からは、子供たちがワークショップの内容理解のための優しい声かけや、子供たちへの説明方法などアドバイスを沢山頂きました。 アイン弘明寺保育園の皆様、ご協力ありがとうございました。
PART 2 小田原高校との交流
今回は、小田原市にある県立小田原高等学校にて1年生および2年生と2回に渡って実施したSDGsワークショップの様子を紹介します。両日に渡って、小田原高校の学生さん側からの英語によるプレゼンテーションも行われ、日本の高校生が国内外の問題をどのように捉えているのか知る良い機会となりました。
前回紹介した保育園でのSDGsワークショップと同様、3つグループ(横国留学生によるSDGsアンバサダー活動PART1参照)に分かれ、保育園で行なったテーマをより深く高校生用に掘り下げた内容のワークショップを企画しました。今回のワークショップは英語でおこなれました。
まずチーム1の企画は「Are You Green Enough? Better Habits for a Sustainable Environment(グリーンな生活してますか?持続可能な環境を守るためのよい習慣を身につけよう)」というタイトルにて、自然環境に配慮した生活習慣について、グループメンバーの出身国の環境配慮への取組みや、海洋生物やプラスティク消費などに関するクイズを行いました。
チーム2の企画は、「Clean Water and Sanitation / Life under Water」をテーマとして、海洋汚染の影響や私たちに海の暮らしを守るために私たちが今出来ることは何なのか、を伝えることを目的に企画されました。海洋汚染に関するミニレクチャーの前に、グループメンバーの多様性を活かし、メンバーによる国や文化に関わるクイズを出題され、高校生との交流を楽しみました。
チーム3は、「How to Live Eco-Friedly」をテーマにしました。ワークショップの冒頭では、携帯電話を通じてクイズ大会を疑似体験できるKahoot! というアプリで、メンバーの出身国に関するクイズ大会をしました。メインのテーマでは、アップサイクルに関して高校生に紹介をしたり、環境にやさしい生活をどう実践するかに関するミニレクチャーを行いました。ワークショップ後の高校生からのコメントでは、アップサイクルに関してもっと知りたいと興味が湧いたという声が寄せられました。
最後に、高校生からのプレゼンテーションの紹介です。まず一つ目のプレゼンテーションは萬年環さんによる女性の社会進出と出生率の現象をテーマとした「Women’s Social Advancement and Declining Birthrate SDGs No.5 “Gender Equality”」、2つ目のプレゼンテーションも、山口莉央さん、丸太唯莉さん、小池茜さん, 島根菜々美さんのグループによる「Gender Equality around Us in Japan」というタイトルにて興味深いジェンダー平等に関する発表がありました。日本のジェンダー課題に対する高校生の関心の高さが伺えます。3つ目のプレゼンテーションは、白鳥悠悠美さんが取り組んだネパール支援を通して、国際協力に参加する意味、自らの体験をSDGsの概念に合わせて考えた「SDGs」というタイトルにてご発表頂きました。
小田原高校とのSDGsワークショップはすべて英語で行いましたが、小田原高校の先生方の暖かいサポートを得て、活発な議論を行うことができました。コロナ禍の中で、このような形でお互いにとって、SDGsの知識を深める機会を持つことが出来き、とても有意義な時間となりました。改めて、小田原高校の奥山澄夫先生、奥村良太先生、塩崎和先生をはじめ、今回のワークショップに参加していただいた小田原高校のみなさん、ありがとうございました。
PART 3 東海大学
今回は、神奈川県平塚市にある東海大学の健康学部健康マネジメント学科の1年生と行ったオンラインの交流内容について紹介します。2020年度のYCCS開講科目であるStudio Workshopを履修した学生12名が、5回に渡る合同授業を通して、多様な視点からのディスカッションを行いました。
交流機会 | 日時 | 内容 |
#1 | 10/22(木) | アイスブレーク(東海)、グループディスカッション |
#2 | 11/5(木) | アイスブレーク(横国)、横浜国立大学の学生による発表(1) |
#3 | 11/12(木) | 東海大学の学生による発表(1) |
#4 | 1/14(木) | 横浜国立大学の学生による発表(2) |
#5 | 1/21(木) | 東海大学の学生による発表(2) |
第1回: 交流の初顔わせでは、東海大学の学生さんのファシリテーションでZoomじゃんけんを行い、小グループワークの中で、自己紹介の時間を取りました。後半では、SDGsに関わる世界規模の課題について、Global Issue Worksheetを使って意見交換を行いました。
第2回: 横浜国立大学の学生が、冒頭宝探しアイスブレーカーを実施し、自分の国を表すもの、これがなくても生きていけるもの、これがないと生きていけるものだと、様々なアイテムを画面上で共有しました。後半は、小田原高校で実施を計画しているワークショップの内容について、東海大学の学生に対して発表を行いました。各グループのその時点のテーマは下記でした。
チーム1: SDGs and Waste
チーム2:Clean Water and Sanitation / Life under Water
チーム4: How to Live Eco-Friendly (Eco-Living)
第3回: 東海大学の学生が、SDG3「全ての人に健康と福祉を」をテーマに、コロナ禍の日本の対応や日本の福祉制度などについて発表を行いました。日本の特徴的な取り組みと海外制度との違いまた類似点についても活発な議論が行われました。
第4回: 横浜国立大学の学生グループが、小田原高校で実施をしたワークショップの実践報告を行いました。オンライン上での参加型ワークショップを成功させるために、Kahoot!を使ったアイスブレイカーを行って盛り上げ、オンラインクイズ、また高校生が意見を出しやすいディスカッショントピックを事前に用意するなど、試行錯誤して辿り着いた工夫を、例として紹介しました。
第5回: 東海大学の学生グループが、ブレイクアウトルームに分かれ、サステイナブルなテーマについての発表を行いました。各回で横浜国立大学の学生がブレイクアウトルームを移動し、意見交換を行いました。
今回の東海大学との合同授業の中では、同じ神奈川県にある2つの大学のパートナーシップ(SDG17)を活用し、多角的なテーマについてディスカッションを行いSDGsについての知識・理解を深め、様々な実践方法について検討を行うことを目的としました。
横浜国立大学の学生は、コロナ禍で海外また国内各地から参加していましたが、他大学で学ぶ同世代の学生との交流を毎回楽しみにしていました。普段の生活であまり知る機会がない日本の伝統的な考え方やそれを若い世代がどう捉えているかなど、留学生にとっては新鮮な発見が多かった様です。ZOOM上でのオンライン交流は、文化背景が異なる学生同士の活発なディスカッションが課題ではありましたが、5回にわたり英語と日本語の両言語を駆使した積極的な意見交換が行われました。コロナ禍が落ち着いたら、対面での再会が可能になることを願います。
東海大学の市川享子先生には、ご多忙の中留学生と日本人学生の交流促進のためにご尽力いただき、大学・教員同士のパートナーシップの構築を導いてくださいました。市川先生そして東海大学の皆様、ご協力ありがとうございました。